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コラム

逆引きマーケ

逆引きマーケ Vol.3 :
こだわりが不親切に変わる瞬間

以前、ハイソな街と言われる地域の、とある老舗のお蕎麦屋さんに入りました。(お蕎麦は好きです)
いわゆる“街のおしゃれ感”とは程遠い、昔ながらの「お蕎麦屋さん」でした。

そこで、確か…もりそばを頼んだのですが、少し驚きました。
…つけ汁が、極端に少ない。

本当に少ないんです。
ひとり戸惑っていると、近くのお客さんが「つゆを足してください」とお願いしていました。
でも、私は言えなかったのです。
なんとなく、言ったら怒られそうで(笑)。

もちろん、店主には店主のこだわりがあるのだと思います。
おそらく、「まずは蕎麦そのものの香りや味を楽しんでほしい」という意図ではないでしょうか。(憶測ですが)

でも、その“想い”は、客には伝わっていないんです。
むしろ、不親切、ケチ、怖い、聞きづらい…私には、そんな空気として伝わってきました。

ここに、マーケティングの面白いズレがあります。
「良いものが、伝わらないだけで損をする」
これはお蕎麦屋さんだけの話に限らないのではないでしょうか。

多くのお店は、強いこだわりがあります。
にもかかわらず、“説明されていない”ことで損をしている商品やサービスが多いのではないかと考えます。

今回のケースも、例えば一言、「お蕎麦の風味を楽しんでいただくため、つゆは少なめにしております。追加をご希望の方はお気軽にお申しつけください。」と書いてあるだけで、印象はかなり変わると思います。

「不親切」ではなく、「こだわり」に変えることがマーケティング。
そして、マーケティングは“誤解”との戦いかもしれませんね!

人は、説明されないものに対して、自分なりの意味を与えます。
無言 → 怖い
少ない → ケチ
聞きづらい → 不愛想
本来は価値だったものが、別の意味に変換されてしまう怖さ。
これはマーケティングでいうと、「シグナリング」に近いのかなと思います。
企業やお店は、意図していなくても、外観はもちろんのこと、態度・空気・見せ方で常にメッセージを発していますよね。

つまり、「何を伝えるか」だけではなく、「どう受け取られるか」まで設計しないといけないです。

“言いやすさ”もサービスの一部!

さらに面白いのは、「追加できます」という選択肢が存在しているのに、多くの人が頼みにくそうにしている空気感があります。
これは、単なるオペレーションではなく、UX(体験設計)ということがいえるのではないでしょうか。
まあ、ひとことで「接客が全て」という言葉に集約されますが…。

“ブレストコーナー”

◆例えば、古いお店なら、「店内に手書きの貼り紙」!
「お蕎麦の風味を楽しんでいただくため、つゆは少なめにしております。追加をご希望の方はお気軽にお申しつけください」
なんだか、優しいお店な感じですよね。

◆「追い汁文化」をつくってしまおう!
「つけ汁にこだわってます」
「2杯目で完成する蕎麦」
「味の変化を楽しむ設計」
なんだか楽しくなってきました。

というわけで、「不親切」を「こだわり」に変えることは出来そうですね。今回の事例は、「伝えなかったこと」かもしれません。
良いものを作る、こだわりを持つことは大事です。
でも、その価値が、相手にどう見えるか、どのような「体験」になるのか、そこまで設計して、生きたマーケティングになるのだと思います。

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