お問い合わせ

コラム

逆引きマーケ

逆引きマーケ Vol.12 :
お客様に会いに行く。――私の「コツコツ営業」

先日の土曜日、弊社のお客さまである病院へ、仕事の打ち合わせに伺いました。

電車とバスを乗り継ぎ、月に一度、多いときには二度くらい訪問しています。

もちろん、お客さまとはメールもします。電話もします。オンラインで打ち合わせをすることもあります。

それでも、なかなか話が前へ進まないことがあります。

そんなとき、会いに行く。

顔を合わせて話をすると、不思議と少しずつ話が動き始めることがあります。

正直に言えば、決して効率のいい営業ではありません。

移動時間もかかりますし、一日に会えるお客さまの数にも限りがあります。

効率だけを考えれば、もっと別の方法があるのでしょう。

それでも、会いに行きます。

今回も、病院の事務長と医師の先生が、お忙しい中、時間をつくってくださいました。

こちらから何かをご提案するだけではありません。

お話をしていると、病院が今どんなことに困っているのか、何を考えているのか、Webサイトに何を期待しているのか。

少しずつ見えてきます。

メールや電話だけでは分からないことがあります。

会って話して、初めて分かることがあります。

今回も、以前からご提案していたことについて、

「それなら、やってみようか」

という話になりました。

帰りのバスの中で、ふと思いました。

私は27年間、ずっとこんな営業をしてきたんだな、と。

コツコツ営業

創業した頃は、まだお客さまも少なかったので、ほとんどのお客さまのところへ自分で伺うことができました。

できることなら、今でもすべてのお客さま、すべての担当者に会いに行きたいと思っています。

でも、お客さまが増え、仕事が増えていくと、それは不可能に近くなりました。

それでも、会えるお客さまには会いに行く。

格好いい営業ではありません。

暑い日も、寒い日も、電車やバス、時にはレンタカーでお客さまのところへ行く。

汗をかいて、歳なので足や膝を痛くして(笑)、何の成果もなく帰ってくる日もあります。

ずいぶん泥臭いことをやってきたなと思います。

「コツコツ」という言葉があります。

コツコツの「コ」だけでもダメですし、「ツ」だけでもダメです(笑)。

続けて、初めてコツコツになる。

結局、私はそんな営業を27年間続けてきました。

25年続いているご縁

今回お会いした病院の事務長とは、2001年からのお付き合いです。

最初にお会いした病院から、その後、別の病院へ移られ、さらに現在の病院へ。

事務長が新しい病院へ移られるたびに、Webサイトのことで相談をしていただきました。

気がつけば、三つの病院で仕事をご一緒してきました。

25年です。

こうした長期的な関係や信頼を大切にする考え方を、「リレーションシップ・マーケティング」と呼ぶそうです。

一度売って終わりではなく、お客さまとの長期的な関係を大切にしていく。

なんだ。

私だけではなく、みなさんも知らず知らずのうちにやっているのかもしれません。

まさに「逆引きマーケ」です(笑)。

お客さまの「温度」を持ち帰る

ただ、お客さまに会いに行くだけでは、ダメなのだと思います。

私は、お客さまのところで聞いたことを、なるべく社内で共有するようにしています。

何を考えていたのか。

どんなことに困っていたのか。

どの話に興味を持ってくださったのか。

時には、会議室の空気や、ちょっとした言葉のニュアンスも伝えます。

私がお客さまから持ち帰るのは、仕事だけではありません。

お客さまの「温度」を持ち帰ります。

一方、制作を担当する社員には、日々の仕事の進捗や、制作の現場でしか分からない「状況」があります。

私が持ち帰った「温度」と、社員が持っている「状況」。

それが社内で行ったり来たりする。

それもまた、私たちなりの「コツコツ」なのかもしれません。

弊社は創業以来、お客さまと直接お取引する「直請け」を続けてきました。

直請けとは、単に間に代理店が入っていない、という意味ではないと思っています。

お客さまの声を直接聞く。

困っている顔を見る。

「実はね……」という、メールには書かれない話を聞く。

そして、それを会社へ持ち帰る。

それが、私たちがずっと大切にしてきた仕事の仕方です。

だから本当は、

「私がお客さまに会いに行く」

ではないのかもしれません。

会社がお客さまに会いに行く。

そういう会社でありたいと思っています。

人との出会いは、流れていかない

最近、歳のせいか、過去を振り返ることが増えました(笑)。

会社を経営している以上、売上も利益も大切です。

それがなければ、会社を続けることも、社員の雇用を守ることもできません。

でも、少し不思議なことがあります。

売上は数字になります。

入ってきたお金も、給料や仕入れ、家賃や税金になって、やがてどこかへ流れていきます。

ところが、人との出会いは、なぜか流れていきません。

一緒に仕事をしたこと。

会議室で何時間も話したこと。

うまくいかず、一緒に困ったこと。

喜んでいただいたこと。

時には、叱られたこと。

そんなことが、ずっと残っています。

「残っている」というより、

自分の中に刻まれている。

そんな感じがします。

AIも使います。

オンラインも使います。

便利なものは、これからもどんどん使っていきたいと思っています。

それでも、会えるお客さまには、会いに行きたい。

27年間続けてきたからといって、これが正しい営業なのかは、今でもよく分かりません。

そして、私一人の営業で終わらせず、お客さまのことを会社全体で見て、寄り添える会社にしたい。

まだまだ、できていないことばかりです。

だから、もう少し続けてみます。

コツコツ。

「コ」だけでも、「ツ」だけでもダメですから(笑)。

明日もまた、お客さまに会いに行きます。

辻 正雄
デジタジオ株式会社(ビジコン運営)代表
株式会社アーティストユニオン代表
経営者に寄り添うマーケター:マサオフィス

一覧へもどる
COLUMN
COLUMN
details